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〜日本から西廻りに地球一周〜
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   とんとん拍子にうまくいく。ブタは縁起物です。
 
でも本当は、舞台などで踊る時に、調子よく足音を「とんとん」鳴らして床を踏む様子から、続けざまに行進する→順調に進む→うまくいくという意味となりました。 豚は関係ありません。

 蚊取り線香の入れ物といったら豚の形(蚊遣豚・かやりぶた)ですよね。
 江戸時代の武家屋敷跡から、当時の蚊遣豚が発掘されています。現在の蚊遣はお尻も鼻も大きく開いていますが、当時のものは鼻はビンの口のようにきゅっと閉じています。
 
蚊を追い遣るための草を燃やすのに一升瓶やとっくりの底を抜いて横にして使ったところ、豚の形に似ていた。とか、明治時代に養豚場の人が考え出した。とか、その起源については色いろな説があります。

 日本で豚肉が一般的に食べられるようになったのは明治になってからですが、一部の人は江戸時代から食べていたようです。

 徳川最後の将軍慶喜は、豚肉を好んで食べたので、「豚一様」をいうあだ名がつけられていました。伝統的に豚肉を食べていた薩摩の大久保利通に豚肉をおねだりした記録も残っています。

 鹿児島の“とんこつ(豚骨)”料理といえば、骨を食べる料理でも、ラーメンのスープでもありません。豚の骨付きあばら肉を使う豚の角煮に似た郷土料理です。薩摩武士たちが戦場や狩場などで作ったのが始まりと言われ、別名『武骨煮』西郷隆盛も大好物だったとか。

 埼玉県東松山市で「やきとり」といえば豚肉。北海道室蘭市でも「やきとり」といえば豚肉。

 武蔵御嶽神社(東京都青梅市)には、どうやってもブタにしか見えない狛犬があります。もともとは、和気清麻呂を助けたいのしし(武勇の神)だったのが、修復を重ねるうちにブタのようになってしまったとか。

 信州に宮崎駿監督の別荘があり、「黒豚亭」と名付けられています。
 宮崎監督の映画には、『紅の豚』『千と千尋の神隠し』以外にもたくさんのブタが登場します。探してみてください。

 石川県輪島市に「ねぶた温泉」という地名があります。
 『寝豚』という字が示すように、昔、弘法大師が能登巡錫の折、傷ついた猪が湯だまりに寝ころんで傷を癒している姿を見て、この温泉の効能を察し、入浴をすすめた事に由来しているそうです。

 沖縄は豚正月
 沖縄では大晦日には豚をと殺し(ウワークルシーという),ソーキ汁(骨つきあばら肉の入った汁)を作って年を越し,豚肉料理で正月を祝います。昔は正月用に豚を飼っておき,それをと殺していましたが,現在は肉屋で買うことが多いようです。
 元旦に、仏前にお供えする「チータチ・ベェーシ」は、地域によって多少の違いはありますが、一般的には、茹でた豚レバーと石炭を昆布で巻いた物と塩を一緒にして祖霊にお供えします。

 日本の猪年は韓国・中国・ベトナムでは豚年です。世界的に猪年というのは日本だけのようです。
 中国から暦が伝わったころ、日本には家畜化された豚がいなかったので、猪に置き換えたようです。
 
 
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韓国
 
   韓国では、「お金」の発音と「豚」の発音がほぼ同じです。夢に豚が出てくると、金持ちになれるなどの言い伝えがもあります。

 韓国では、お払いの祭壇の一番前を飾るのが「豚の頭」です。
 毛をきれいに削ぎ落とし、ゆでたものを使います。笑っているように見えるものがいいそうです。
 お辞儀をしたあとは豚の口にお札を挟みます。

 16代大統領ノ・ムヒョン氏は選挙当時、黄色いチョッキを着た仔豚「希望のブタ」を抱いて国民に「安定の中の改革」をアピールしたそうです。
 ちなみに、香港の李元総統もブタ好きだったとか。

 2002年12月〜2003年3月、地下鉄5号線では、電車の外装も内装もブタイラストや写真でコーディネイとした「福豚文化列車」が走っていました。

 慶州の世界遺産、仏国寺で2005年、極楽殿の軒下「極楽殿」と書かれた横額の裏に、黄金に光る豚の彫刻があるのがたまたま発見されました。しかも観光客によって!!
 そこは、壁に貼りつく様にして見上げないと見えない場所ではありますが、極楽殿が改築されたのは李氏朝鮮時代の1750年と言われているので、257年の時を経て発見されたということです。
 
 
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中国
 
   中国では、お正月に玄関に豚の絵や置物(肥ったぶたが玄関を押し分けて入って来る絵・ぶたが宝箱を背負っている絵など)を貼ったり置いたりします。また、1月3日は豚の日です。

 豚は、多産多幸・家庭の幸せのシンボルです。豚年生れの子どもは、一生お金に困らないといわれています。
 特に60年の一度の金豚年はベビーラッシュになります。

 豚足とラッキーの発音が似ているので、お正月や受験の合格祈願に豚足を食べる習慣もあります。

 中国の占星術で豚は人のためによく尽くし、良心的であるともされています。

 唐の時代には、北斗七星が七匹の豚の精とされていました。
 豚は水の神の使いとも言われ、雨乞いや洪水よけのためのお祈りの供物にも使われます。
 『西遊記』の猪八戒はその前世では天の川の水軍を率いる大将だったんですよ。

 考古学者の中には、龍神=ぶただという人までいます。
 原種に近いぶたは鼻が突き出て顔が長く、首のうしろにたてがみのような毛があり、龍に見えないことも・・・。
 約6000年前の出土物「玉猪竜」は、猪(豚)の頭と蛇の胴体が合体した形で、これが竜の原型と言われいます。

焼豚に関するおもしろい伝説。
 
ある時、豚飼いの少年が誤って火事を出し、子豚を焼いてしまいました。
少年は焼け跡から子豚を助け出そうとしましたが、美味しい香りに、ついかぶりついてしまいます。帰ってきた父親もこの味の虜になり、子豚が手にはいると、家ごと焼いて食べるようになりました。
 この秘密は世間に広がり、国中の家が焼かれそうになりましたが、ひとりの天才が現れ、もっと簡単に焼豚を作る方法を考え出したのです。
めでたしめでたし。
 
 
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タイ・東南アジア
 
   タイでは天の川のことを「豚の道」と呼びます。

 タイの占星術では、ぶたは知的で賢明だとされています。両親が子供に「ぶたちゃん」というあだ名をつけることも多いです。

 タイ語でブタは「ムー」。ムーという苗字もあります。ブタを二回連続して発音すると「そんなの簡単」という意味。

 インドネシアのアチェ族には、妊娠中に食べた一番美味しかったものの名前を生まれてきた子供につける風習があります。野ぶたちゃん(チェチェギ)は定番。
 
 
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インド
 
   仏教説話では、お釈迦様が豚肉を食べていた話がいくつか残されています。

 ヒンズーの神話では、まだ世界が水の中にあったとき、太陽神「ビシュヌ神」の鼻の穴からイノシシが飛び出し、世界をその牙で救い上げたとされています。

 太陽と月の女神「摩利支天(マリーチ)」像も、黄金のぶたやぶたの曳く車に乗っていたり、ぶたに取り囲まれていて、ぶたは太陽と水にかかわりが深いようです。
 ちなみに、摩利支天は日本では男神とされ、野生のイノシシを引き連れています。
 
 
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中東
 
   イスラムではぶたはタブー視されています。
 コーランにはっきりと書かれているわけではありませんが、もともと砂漠地帯の多い中東は、水をたくさん使う養豚が向かなかったたことに加え、木燃料が少なく、料理で十分熱を加えられないので豚肉の寄生虫を殺せないことが理由で禁止したと考えられています。
 これも生活の知恵です。

 さらに豚は遊牧には適さない動物のため、農耕民族の家畜になっていました。ほとんどがイスラム教徒である遊牧民は、農耕民族を蔑視していました。農耕民族しか飼わない豚をその旺盛な食欲と性欲に結びつけ、いっそう蔑視するようになり、次第に教義に組み込まれていったとされています。

 イエスが生まれた時、動物たちも贈り物を持って集まってきました。牛はミルクを、山羊は皮を、鶏は卵を、ろばは自分の背中を乗り物として贈りました。
 そこには豚もいたのですが、何も贈らずに鳴いているだけだったので、罰として食べられてしまいました。

 古代エジプトでは、豚は聖と悪の二面性を持っていたようです。
 豚は豊饒神の獣であり太母としてのイシスおよび神ベスの聖獣でもありましたが、悪神セトのテュポンの相を表す悪の動物であるともされていました。

 古代エジプトでは豚は食用として一般的だったようです。8000年程前から家畜化されていたことがわかっています。また、畑の土を耕すのに豚が重宝されました。
 洪水や雨の後、撒いたタネを地中に踏み入れるために、口輪をはめて使役されたとの記述も残っています。

 ヒエログリフには、くるっとしっぽのまるまったぶたの絵字がみられます。
 
 
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北欧
 
   サンタクロースの原型は、ノルウェーの森の妖精『ニッセ』です。ニッセはニットに半ズボン、木靴で、豚に乗って来ると信じられています。
 ニッセはミルク粥が好きなので、クリスマス前には、納屋にミルク粥を準備します。

 北欧でクリスマスいったら、七面鳥ではなくて「クリスマスハム」です。
 塩漬けされた豚もも肉の大きな固まりを23日の夜からオーブンで一晩かけて低温で焼き、その後さらにマスタードをぬり、パン粉をふりかけて高温で焼き上げます。これにリンゴジャムをつけて食べます。
 ショーウィンドウには、リンゴを丸ごとくわえた豚の丸焼きが飾られます。

 クリスマス時期にスウェーデン国民一人が食べるハムが1キロ、デンマーク人は2キロにも及ぶそう。

 昔、クリスマスに豚を買うことの出来ない貧しい人々は、代わりにぶたをかたどったパンをつくりました。今もぶたの形のクッキーをツリーに飾る習慣があります。
 
 
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ドイツ
 
   ドイツ人はよく、運がよかったときに「Ich habe Schwein gehabt.」といいますが、これを直訳すると「豚を手に入れた」となります。

 ドイツ人は、誕生日・旅立ち・正月などに「グリュックス シュバイン」といわれるぶたのフィギアを交換します。
 これは、ブタと1ペニヒ硬貨(現在は1ユーロ硬貨)をあわせたもので、ほかにもブタと四葉のクローバー、てんとう虫もよく用いられる幸運のシンボルです。
 クリスマスマーケットには、ブタのフィギアやブタの形のお菓子などがたくさん並びます。

 ドイツのシュトゥッツガルトには個人で運営する「幸運の豚博物館」があります。その場所はもと食肉加工場。オーナーの経営する豚肉レストランも併設されています。
 収納されているぶたの数は、誰にもわかりません。

 ポルシェ博物館の展示でひときわ目を引くのが、1971年のル・マンでデビューした、全身クリームピンクのポルシェ917。ボディ全体に豚の部位を表すマーキングが施されています。
 
他の917シリーズに比べるとホイールアーチが張り出し、クラッシュの衝撃を弱めるためにショートテールで、ずんぐりした印象。エンジニアたちが「雌豚ベルタ」と呼んでいたため、このようなカラーリングになったそうです。この太った917をスポンサーのマルティーニは気に入らず、ボディにいっさいマルティーニの名前をマーキングをしないように言ったそうです。

 鼻がいいので、数十年前、ドイツには麻薬犬ならぬ麻薬豚がいました。

 ゲルマン民族にとってぶたは穀物の精です。
 昔、イギリスに嫁いだ王女に、ドイツの実家は毎年クリスマスに引き出物として猪を贈っていたそうです。
 
 
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南西ヨーロッパ
 
   ヨーロッパでは豚の形の貯金箱をよく見かけます。 豚の形をしていなくても、貯金箱のことを PIGGY BANK といいます。
 これは、豚が多産や有用性などから幸運のシンボルとされていたほか、村民がお金を出し合って貧しい人のために豚を買った「アントニウスの豚」の話に由来しているといわれています。
 アントニウスはキリスト教の聖人で、豚を連れています。

 他にもこんな説が。昔ヨーロッパでは食器は、ピッグ(Pygg)と呼ばれるオレンジ色の粘土で出来ていました。主婦達がこの粘土で出来た壷にコインを貯め出したので、「ピッグの貯金箱」として知られるようになりました。
 19世紀イギリスで、ある陶芸職人が「pyggの貯金箱作って」と言われた時に、豚の形をした貯金箱を作ってしまい、これがヒットし今につながるとか。
 実際のところは、よく分かっていないのです。

 中世ヨーロッパの修道院では豚を飼って、肉の他に油を薬としても販売し、大きな収入源となっていました。

 イタリアのお正月料理と言えば、Zampone(ザンポーネ)。これは豚足の骨を抜いて肉を詰めたサラミで茹でで食べます。

 イギリスでは、バレンタインにピンクのブタのぬいぐるみの特設売場をいちばん目立つ場所に設けます。
 バレンタインにブタグッズを贈るのはイギリスだけの風習のようです。

 古代ローマとその周辺国では、4月2日に春の訪れをたたえてビーナスに雄ぶたをささげました。Aprilという名称は、ラテン語の雄ぶた(Aper)に由来します。

 中世ヨーロッパでは、豚は新しい年の幸福を運んでくるといわれ、ブタの貯金箱も新年に割る風習がありました。
 また、トランプのエースにもぶたの絵が描かれていました。

 スペインでは、日常的に豚の丸焼きを食べる習慣があります。
 カスティ−ジャ地方の中でも、セゴビアはコチニ−ジョ ・ アサ−ド(子豚の丸焼き)で有名な都市。この習慣は、ドイツ・オ−ストリアなどゲルマン系の国から伝わったものです。

 南フランスやイタリア、シシリー島などでは、シクラメンの塊茎を豚が好んで食べるので「ブタのパン」と呼んでいます。
 かつて日本でもシクラメンのことをブタノマンジュウ(豚の饅頭)と言っていました。

 トリュフ探しといえば豚。フランス・イタリア・ドイツの一部では今も豚が使われています。

 世界最古といわれるサッカーボールは16世紀に作られました。豚の膀胱に鹿の皮を縫いつけたもので、スコットランド女王のメアリーの持ち物でした
 
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アメリカ
 
  3月1日は「ナショナルピッグデイ」 
 1972年にある姉妹が、最も利口で役立つ家畜である豚への感謝をこめて制定しました。この日はアメリカ各地で豚の品評会が開催されます。

英語で豚が空を飛ぶかも[Pig might fly]というのは「ラッキー」「ありえないような奇跡が起こった」という意味で使われます。

ハーレーホッグとして、様々なブタグッズがあります。
 '20年代にハーレー・ファクトリー・レーシングチームのマスコットが本物の豚だったことから、ハーレーと豚との関係は始まっています。負けが続いていたチームですが、あるライダーが豚を連れて行ったところ優勝したので、チームメートが真似をしだしたんだとか。
 '83年には「ハーレー・オーナーズ・グループ」が誕生し、頭文字をとって「HOG」(雄ブタ)として定着。HOGには、ブタがエサ(燃料)を沢山食う事から転じて、大型のオートバイといった意味もあります。また、バイクのエンジンをふかす音がブタの鳴き声に似ているからという説もあります。

ハワイのオアフ島には豚の半神カマプアアというものがいます。
 
普段はハンサムな人間の姿をしていますが、いったん怒って本性を現すと恐ろしい八ツ目の豚に変身し、また、時によってはフムフムヌクヌクアプアアという魚になる、という3つの姿を持っています。
 フムフムヌクヌクアプアアを直訳すると「ぶうぶう鳴く角張ったぶた」 となります。実際、変な形で鳴く魚で、その珍しさから、非公認ながら、ハワイ州の州魚になっているようです。
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南米

 ブラジルでは、お正月には子豚の丸焼きを食べます。
 豚は前に前に進んでいく動物なので、「前向きに一年を過ごせるように」ということで食べるそうです。

 南米の代表的な料理は、黒豆と豚の内臓の煮込み(フェジョアーダ)です。

 アンデスのある地方では、3本足のブタ(チャンチート、チャンチトス)が幸運のシンボルで、贈ったり贈られたりするといっそう効果があると言われています。

はじまりはチリのポマレイ村。
「貧しい牧場には数匹の豚しかおらず、牧場主は厳しい生活。ある冬、ついに食べ物もなくなり、生き延びるためにやむなく飼っていた大切な豚の足の一本を取り、家族で分けて食べました。そうすると、みるみるやる気と元気がでて、商売は繁盛!おかげで、豚の残りの3本の足は食べる必要がなくなりました。牧場主は神に感謝し、その時のことを忘れないために、3本足の豚の焼きものを作ることにしました。」
それ以来、3本足のブタは、幸運・愛情・ビジネスのお守りとして、信じられるようになったという言い伝えです。
 また、大切な人と別れる時には、「君と別れるななんて僕の片足がなくなったようなものだよ・・・」という意味もあるそうです。
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南太平洋
 
   ニューギニアのダニ族にとって、豚は、財産の象徴。
 一夫多妻のダニ族は、一人の妻を迎えるのに、大体5頭のブタを新妻の家族に納めます。ぶたは家族のメンバーと同じような存在で、女性と同じ家で寝起きをし、時には自分のお乳を子ぶたに飲ませることもあるとか。

 フィジーとニューカレドニアでは、かつて豚の歯は、貝殻とともに貨幣として用いられていました。
 
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